設立趣旨
インターネット通信&パソコンの急速な普及によって、人文学は従来の研究方法論を大々的に変革することを余儀なくされている。2000年に発足した漢字情報研究センターでは、当時の緊急の課題であった汎用性のある漢字処理システムの開発に取り組み、漢籍や甲骨文字、拓本文字等の所蔵資料をデータベース化する事業を推進してきた。その後、情報社会化はさらに進展し、従来型の文献資料学は、IT技術を取り込んだ人文情報学に変容しようとしている。
そこで、新センターでは、人文学に情報学的な手法を取り入れ、東アジアの史料・言語・文献・目録に関する研究情報を包括的に扱うシステムを研究開発し、人文学と情報学を融合させた人文情報学のグローバルな研究拠点を構築する。また、 国内外の研究者に向けてセンター所蔵の研究資料を共同利用するサービスを行うとともに、人文科学研究所が推進する共同研究の成果を基盤として多層的な研究情報の構築、発信を行うことで、研究所が人文学のグローバルな研究拠点として活動するための一翼を担い、東アジア世界の研究者コミュニティを創成する推進力となることを目指している。
参考資料:井波陵一「センター改組計画の史学的観点」(「漢字と情報」第18号掲載)